本当に内製化は成功するのか。重要なポイント、3つのメリットと課題。
こんにちは。リナークのニシザワです。
数年前から「システム開発の内製化」がトレンドになっています。例えば、ニトリHD、ビックカメラ、そしてカインズなどでは内製化に舵を切り、そのリソースの源泉であるIT人材を積極的に採用しているニュースを耳にしているかと思います。
今回は2022年に開催された「Claris Engage Japan 2022」で「8年に渡る内製とアウトソーシングのハイブリッド開発の現在・過去・未来」というセッションを発表させていただき、内製化の過去・現在・未来をお伝えしました。
そして、このセッションを視聴されたみなさんから様々な反応をいただきました。また、30分という短い時間でしたのですべてをお伝えできませんでした。
この記事では内製化の「一番重要なポイントと、3つのメリットと課題」をピックアップします。そして、まずはどのように行動をすれば良いのかをお伝えします。
これを読むことで本当に内製化ができるのかという不安を解消できること。そして、すべてを内製化ではなく、アウトソーシングと内製化、もしくはアウトソーシングでも内製化に近い体制を構築できることをご理解いただけます。
ファン(理解者・協力者・支援者)を得ること。
昨今、リソースが限られる中小企業、もしくはシステム開発に苦労されているみなさんが「ソリューション」を導入し、社内の業務改革を実行するための理解を得るためには、システム導入のファーストステップでその効果をすぐに実感し、デジタルトランスフォーメーションを体験することで、その次のステップに進むことができることが重要だと考えています。
その体験こそが、ファン(理解者・協力者・支援者)を呼び、その輪を広げると考えています。
これは2010年に初めて業務システムを自己流で開発し、そこからの12年間で体験してきたことの中で、一番の重要だったポイントは「ファン(理解者・協力者・支援者)」だと考えています。
この「ファン(理解者・協力者・支援者)」とは応援してくれる人、何か分からないけど業務が変化することに可能性を感じてくれる人、システムが導入されることに期待してくれる人、一緒にチャレンジしてくれる人です。
日常業務(=作業)を「変化させられる」ことは多かれ少なかれ抵抗感はあると思います。
それまでの仕事で培ってきた経験、やりかた、ペースなどが「他人に変えられること」は、緊張感や抵抗感があって当然だと捉えています。
また、業務を知らない、理解していない人から「業務を変化させられる」ことに抵抗感を持つ人もいます。
大企業やリソースが贅沢な企業では業務は細分化され、担当が変更になったとしてもすぐに引き継げるような体制が整っています。しかし、リソースが限られる企業では「兼務・多能工化・プレーイングマネージャー」といった対応でひとりのスタッフが複数の業務を担当していることは多々あると思います。
これは善し悪しではなく、このような体制になっていることで業務が進んでいると考えています。
内製化はこのような体制から構築されている既存の業務を近くで理解すること。その業務からニーズを把握して改善に直結したシステムを開発すること。もしくは、提供できることが一番のメリットだと考えています。
そのために、自ら業務を改善したいファン(理解者・協力者・支援者)が近くにいることで、改善する案件が途切れることなく、一つの改善からまた次の改善に繋がる好循環を生み出すことができます。
内製化の3つのメリット
その結果、内製化の3つのメリットを享受することができます。
スピードアップ
業務に直結したシステムを開発できること。
つまり現場、もしくはそのシステムを利用するユーザーさんと開発者はコミュニケーション頻度が高くなることで関係が構築することができます。そして、ニーズを的確に捉えることができることで、現場が欲しいシステムを構築することができるのです。
その関係性が内製化のメリットである「スピード」に直結します。
費用の削減
自社で対応できるということは外注費の削減に繋がります。
基幹系システムでは規模にもよりますが、一般的な受託開発では少なくても数千万円の見積金額になるのではないでしょうか。
当然、自社のスタッフで開発をした場合でも人件費は掛かります。しかし、受託開発で決まり切ったシステムを導入するよりも、自社スタッフであれば市場の変化に素早く対応し、常に優先順位を検討してニーズが高いシステムを導入することが可能になります。
ノウハウの蓄積
内製化では開発ルールの共有、業務上の自社ルールの反映及び開発背景の共有などを社内で蓄積することができます。これは現場のニーズに近く、その独特な言い回しなどのパッケージでは対応が難しい部分や開発の継続性という観点からも非常に重要なことです。
3つの課題
しかし、上記の3つはメリットでもあり、課題となり得る可能性があるポイントです。
スピードアップでは
実現したいソリューションが明確になっていたとしても開発スキルが伴わないと
最短距離の開発ではなく、逆に開発スケジュールが長くなることで開発コストが高くなることで道筋が見えなくなってしまいます。
また、ヒアリング相手の期待感が、開発者のプレッシャーになる可能性もあります。
費用の削減では
社内の人員であれば開発コストを抑えることが目的になってしまうとその人材を採用する時点で躓きます。
そして、開発コストの削減が目的になってしまうと本来の目的(=業務改革、スピードアップ)が失われてしまいます。
ノウハウの蓄積では
ルール作りや情報の共有をしなければシステムのブラックボックス化が進むことになります。
そのブラックボックス化されたシステムはいつしかレガシーシステムとなり、リプレイス開発をするときには足かせになります。
課題の解決とメリットの享受
その課題の解決とメリットの享受をするためには、小さく始めること(スモールスタート)が重要になります。
この「小さい」の定義はステークホルダーによって異なりますが、小さく始めることでシステム導入までの期間が短くなります。その結果として早い段階から導入効果が期待できます。
そして、その導入過程では課題が浮き彫りになり、その課題が大きなリスクとなる前に対応が可能になります。
その具体的な進め方としては、ベンチマーキングを実施すること。
これは自社の現状把握をするということです。そして、自社のITステージを把握して優先順位を決めて進むことです。
まずは何ができていないのか。そして、何をしたいのかを共有することで、ステークホルダーの方向性が一致します。
そのときに「内製化」、「内製化 + アウトソーシング」、もしくは「アウトソーシング」という方向性が見えてきます。
また、その方向性が見えなかったとしても方向性を見つけるために、ファーストステップとして「アウトソーシング」に任せることです。
システムを小さく初めて大きく育てるのであれば、その体制も同じように小さく初めて大きく育てることで共に成長ができます。
内製化をするためには、それだけのリソースが必要です。
そのリソースの確保が難しいのであれば、「内製化 + アウトソーシング」、「アウトソーシング」を用いることが重要ではないでしょうか。
それは本来の目的が「業務改革・業務効率・売上向上」であるからです。
まずは現状把握をすること。
そして、どんなことを実現したいのかを共有することが、メリットと課題に対処できる最初の一歩ではないでしょうか。
私たちはそんな一歩を踏み出そうとしているみなさんの後押しから併走、そしてフォローまでを一括で対応いたします。
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