こんにちは。リナークのニシザワです。
今回の記事では、「あのときやらなかったら、どうなっていたのか?」というテーマで、内製化によるシステム開発の経験とその成果についてお伝えします。
2022年のClaris Engage Japanで私たちは、自社でのシステム開発の取り組みを共有しました。このプロジェクトを通じて、私たちは単に業務効率を向上させるだけでなく、5,000万円以上の直接的なコスト削減を達成しました。しかし、もし私たちがこの一歩を踏み出していなければ、今日のビジネス環境でどのような状況に直面していたでしょうか?
この記事では、私たちが実際に体験した変革の詳細を振り返りながら、もし内製化を進めなかった場合の様々なシナリオを探ります。また、私たちの取り組みがこれからのあなたのビジネスにどのように役立つかを解説し、内製化がもたらす長期的な利益についても考察を深めていきます。特に内製化によってどのように企業が自己改革を達成し、業界内での競争力を強化したかを詳しく見ていきたいと思います。
セミナーでのポイントと実際の効果
2022年に開催されたClaris Engage Japanでのセミナーでは、私たちは内製化を通じたシステム開発の経験を深掘りして共有しました。このセミナーでは、自社での開発能力の強化と、古いスタンドアローンシステムからの脱却に焦点を当てました。具体的には、受注から生産管理、物流管理、販売管理に至るまで、全プロセスをワンプラットフォームで統合し、業務を効率化するシステムを自社で開発しました。
コスト削減
最初に検討した物流管理システムの導入を外部に依頼した際、見積もりは約3,000万円でしたが、内製化により大幅なコスト削減を実現しました。実際の運用においても、一元化された物流管理システムによって年間500時間以上の作業時間を削済しました。この時間削減は、最終的に8年間で5,000万円以上のコスト削減に寄与しました。そして、この削減金額は、システムが稼働し続けることによって、雪だるま式に増えています。
業務効率の向上
業務プロセスを詳細に分析し、無駄を排除することで効率を大幅に向上させました。内製化により、情報の見える化を実現した「カンバン」システムを導入し、スタッフが自発的に「今、何をすべきか」を判断し行動できるようになりました。これにより、作業の平準化が進み、業務時間の短縮が実現しました。また、日々の業務に必要な情報がリアルタイムで共有されるようになり、業務全体の効率が飛躍的に向上しました。
柔軟性の向上
内製化によって、システムのカスタマイズや迅速な修正が可能になりました。これにより、市場の変動やビジネスニーズの急激な変化に迅速に対応できるようになり、企業の柔軟性が大幅に向上しました。特に物流の面で見られた2024年問題など、時間的な制約が厳しくなる中でも、システムの柔軟性がこれを支えました。
実際に達成した効果
私たちの内製化プロジェクトは、システムの構築だけでなく、業務全体に対する改善をもたらしました。
詳細なコスト削減の分析
前述の通り、当初の物流管理システムの導入見積もりは約3,000万円でしたが、内製化により大幅なコスト削減が可能となりました。具体的には、外部委託に比べて開発費用を約半額に抑えることができ、さらに運用コストも削減しました。これは、独自のカスタマイズが可能となったことで、必要以上の機能拡張や不要なサービスに対する出費を避けられたためです。
業務効率の向上に関する定量的な成果
内製化により、特定の業務プロセスにかかっていた時間がどれだけ削減されたかを具体的に計測しました。例えば、注文処理時間が従来の半分以下に短縮され、その結果として顧客からのレスポンス時間も大幅に改善されました。また、誤送のエラー発生率が以前の5%から0.01%未満に低下し、これによりクレーム処理に関連するコストも80%削減することができました。
柔軟性の向上とその事業への影響
新しい市場の要求や緊急の顧客ニーズに迅速に対応できるようになったことで、顧客満足度が大幅に向上しました。例えば、出荷時に専用伝票を貼付することが多くなってきました。今までは全国の拠点から専用伝票を物流に郵送し、貼付すること一般的であり、そのために出荷を待つことをしていました。しかし、内製化により修正やアップデートが迅速に行えるようになったため、出荷待ちの時間と確実に専用伝票を貼付することを目的として、Dropboxと連携する機能を実装しました。その結果、出荷情報に専用伝票を添付ファイルとして扱うことができ、郵送をせずに専用伝票を貼付することが可能になったことで、出荷待ちや貼付ミスなどを削減することを実現しました。
新たなビジネスチャンスの創出
内製化が進むことで、従来は見過ごされがちだった業務の痛点が明確になり、それを解決する新たなサービスや製品の開発につながりました。例えば、内製化したシステムを活用して、データ分析サービスを提供する新事業を立ち上げ、新しい収益源を確保しました。
組織文化の変革とスキル向上
内製化プロジェクトは、従業員に対する技術トレーニングと能力開発の機会を提供しました。これにより、ITスキルだけでなく、問題解決能力やプロジェクト管理能力が社内で育成され、組織全体の生産性向上に寄与しました。また、チャレンジングなプロジェクトに取り組むことで、従業員のモチベーションと職場の士気が向上しました。
これらの効果は、内製化をただのコスト削減策ではなく、企業の戦略的な成長を促す重要な取り組みとして位置付けるものです。次のセクションでは、もし内製化を行っていなかった場合の潜在的なリスクと機会損失について考察します。
もし内製化を行っていなかったら…
内製化を進めることによって得られた多くのメリットと対照的に、もし私たちが内製化を行っていなかった場合、様々な機会損失と直面していたことでしょう。以下に、その具体的なシナリオを詳述します。
業務の非効率化が続いていた可能性
内製化を行わなかった場合、古いシステムや手作業に依存する業務プロセスは改善されず、作業効率の低下が続いていたでしょう。特に物流管理においては、誤送や配送遅延が頻発し、それに伴う顧客満足度の低下やクレーム処理の増加が予想されます。これにより、総運用コストの増加は避けられませんでした。
市場の変化に対する適応の遅れ
内製化によって得られる柔軟性と迅速な対応力を持たず、新しい市場の要求や顧客のニーズの変化に対応するのが遅れていたことでしょう。これは特に新製品の開発や市場投入のタイミングに影響を及ぼし、競争優位性を損なう結果に繋がりかねませんでした。
ITコストの増加とROIの低下
すべてを外部ベンダーに依存し続けた場合、システムのカスタマイズやアップデートに必要な投資は増加し続け、その投資に対するリターンは低下していたかもしれません。また、導入するシステムが企業の特定のニーズに完全に合わない場合、過剰な機能や使用しない機能に対する費用も発生し、経済的な負担が増大していたでしょう。
内製化を決断した場合、内製化ができるプロジェクトと外部の力を頼りながら進めるプロジェクトと補完しながら進めてることで、より費用対効果を発揮できる体制を構築できます。
組織内のイノベーションとスキル開発の停滞
内製化を進めることで、社内の技術力とイノベーションが促進されましたが、これを行っていなければ、社内の技術的な停滞やスキル開発の遅れが発生していた可能性があります。これは長期的に見て、社内のモチベーションの低下や才能の流出を招く原因となりうるでしょう。
競争力の低下と市場での立ち位置の弱体化
内製化によって得た独自のシステムとソリューションがなければ、他社との差別化が困難となり、市場での競争力が低下していた可能性が高いです。また、顧客に対して迅速かつ効率的なサービスを提供する能力も低下し、顧客からの信頼失墜に繋がりかねません。
このように、内製化を行っていなかった場合の潜在的なリスクと機会損失は多岐にわたります。現在享受しているメリットとこれらのリスクを比較することで、内製化の決断がいかに企業にとって価値あるものであったかが明らかになります。
まとめ
この記事を通じて、内製化がもたらした具体的な利益と、それを行わなかった場合の潜在的なリスクについて詳しく見てきました。内製化は単なるコスト削減や効率化の問題ではなく、企業の根本的な競争力と持続可能性を強化する戦略的な決断です。
内製化による戦略的利点
内製化によって、私たちは業務の効率化だけでなく、市場の変化に迅速に対応できる柔軟性を手に入れました。これは、技術的な自立と独自性の追求を可能にし、企業としての独自の価値提案を形成する上で重要です。また、内製化は社内のスキルと知識の向上を促し、従業員のモチベーションと企業文化の強化に貢献しています。
内製化への小さな一歩が大きな変革を生む
この記事で共有した具体的な例からもわかるように、スモールスタートから始めた内製化は、予想以上の副産物や効果を生み出しました。この経験は他の企業にとっても価値あるモデルとなるでしょう。内製化を検討している企業は、まずは現状分析を行い、内製化の可能性を探ることから始めることをお勧めします。
継続的な改善と技術の統合
今後も私たちは内製化によって得た知見と技術をさらに発展させ、より高度なシステム統合と業務自動化を目指します。予測分析やリアルタイムの意思決定支援を行うシステムの開発により、ビジネスプロセスの効率をさらに高めることが期待できます。
内製化検討ステップ
内製化を検討するステップとして、下記のステップで検討するとその可能性が見えてきます。
現状分析の実施
自社の業務プロセスを詳細に分析し、どの業務が最も時間とコストを消費しているかを特定します。
内製化可能性の評価
特定された業務の中で内製化によって改善可能な領域を探り、内製化のための初期ステップを計画します。
スモールスタート
大規模な変更を試みる前に、小規模なプロジェクトから内製化を始め、その効果を評価します。成功すれば段階的に拡大していきます。
継続的な学習と適応
内製化は一度きりのプロジェクトではなく、継続的なプロセスです。業務が進化し、新たな技術が登場するにつれて、システムを更新し、改善を続ける必要があります。
これらのステップを踏んで、あなたのビジネスが効率化されるだけでなく、市場での競争力が強化されることを期待しています。しかし、内製化のプロセスは単独で進めるには複雑な側面も多くあります。私たちリナークでは、そうした内製化やIT導入のプロセスを一緒に歩むことをお約束します。実際の業務に即したアドバイスや問題解決の伴走を通じて、よりスムーズな変革を実現できるようサポートいたします。
まずはお気軽にお問い合わせください。初回のコンサルティングは無料で提供しており、あなたのビジネスに最適なソリューションを一緒に探しましょう。ビジネスの未来を内製化の力で変革し、持続可能な成長を実現する第一歩を踏み出してください。私たちはあなたのビジネスが直面する課題を共に乗り越え、成功に導くための伴走者となることを約束します。
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