こんにちは。リナークのニシザワです。
日々の業務の中で、特定の担当者にしか分からない業務が存在していませんか?
もしその担当者が急に休んだり、退職したりした場合、その業務はどのように進められるでしょうか。このような状況を「属人化」といいます。属人化は、業務の停滞や遅延を引き起こし、企業全体の生産性に悪影響を与えるため、できるだけ早く解消しなければならない問題です。
属人化が進むと、担当者にかかる業務負荷が増大し、結果として業務の質が低下するリスクもあります。さらに、その場しのぎの対策では根本的な解決には至らず、別の業務が属人化してしまうことも少なくありません。属人化の解消には、まずその原因を突き止め、正しい対策を講じることが重要です。
今回の記事では、業務の属人化が起きる原因と、その解消方法について詳しく解説します。属人化がどのように発生し、それが企業にどのような影響を及ぼすのかを理解することで、効果的な対策を講じるための第一歩となるでしょう。
これから、属人化の原因を具体的に見ていき、それぞれに対する解決策を提案していきます。今回の記事を通じて、属人化の解消に取り組むためのヒントを得られれば幸いです。
属人化の現状と課題
属人化とは、業務の詳細や手順、進捗状況が特定の従業員にしかわからない状態を指します。この状態が続くと、業務の進行に大きな障害をもたらします。特定の担当者が不在の場合、他の従業員がその業務を引き継ぐことができず、業務が滞る原因となります。また、特定の従業員が業務を囲い込むことで、そのテリトリーに近づくことができずに、本当に必要な業務なのか、すでに必要がなくなっている業務なのかを判断することが難しくなります。
時間の浪費
属人化が進むと、特定の担当者がすべての情報を把握しているため、その人に業務が集中します。この結果、他の従業員はその担当者の指示待ちとなり、効率的に作業を進めることができません。また、担当者自身も多忙になり、他の重要な業務に割く時間が減少します。これにより、全体的な業務効率が低下します。
人為的ミスの増加
属人化の進行は、人為的なミスの増加にもつながります。特定の担当者に業務が集中すると、その人がミスを犯した場合、その影響が全体に広がります。また、他の従業員が業務内容を十分に理解していないため、ミスを発見する機会も減少します。これにより、業務の信頼性が低下し、後々の修正作業に多くの時間と労力が必要となります。
データの分散と管理の難しさ
属人化が進むと、データ管理が一部の担当者に依存することになります。これにより、情報が特定の個人に集中し、他の従業員が必要な情報にアクセスできなくなることがあります。結果として、情報の共有が困難になり、意思決定の遅れや誤った判断が生じるリスクが高まります。
コストの増大
属人化は、コストの増大にもつながります。特定の担当者に業務が集中すると、その人が不在の場合、業務の停滞が発生します。これにより、顧客対応や業務の進行が遅れ、結果として追加のコストが発生することがあります。また、特定のスキルを持つ人材を確保するために、高い人件費が必要となる場合もあります。
これらのように属人化が企業にもたらす影響は多岐にわたりますが、これを解消するためには、まずその原因を正確に把握することが重要です。
業務の属人化は、企業の生産性を低下させる重大な問題です。その原因は、大きく分けて組織、担当者、そして仕組みの3つのカテゴリーに分けられます。以下では、それぞれの原因とその具体例について詳しく見ていきます。
属人化の原因
組織による属人化の原因
業務の専門性が高い
業務が高度な専門知識やスキルを必要とする場合、特定の従業員に依存しがちです。例えば、高度な技術を要する業務や特定の顧客対応は、経験豊富な担当者に集中する傾向があります。その結果、他の従業員がその業務に携わる機会が少なくなり、属人化が進んでしまいます。
標準化をしても評価されづらい
属人化を解消するためには業務の標準化が必要ですが、その取り組みはすぐに成果として現れにくいことが多いです。標準化の努力は長期的な視点での評価が求められますが、短期的な成果が重視される環境では、標準化の取り組みが十分に評価されないことがあります。このため、従業員が標準化に積極的に取り組む動機が弱くなり、結果として属人化が進行します。
担当者による属人化の原因
情報共有をする余裕がない
業務が多忙を極めると、情報共有に割く時間や余裕がなくなりがちです。担当者が「自分でやった方が早い」と考え、他の従業員と情報を共有しないまま業務を進めることがあります。この結果、業務内容が特定の担当者に集中し、属人化が進んでしまいます。
属人化を解消するメリットがない
特定の業務を自分しかできない状態にしておくことで、担当者は自分の職場内でのポジションを守ることができると考えることがあります。このようなポジショニング意識は、標準化が進むことで自身の優位性が失われると感じるため、属人化を解消するメリットを感じにくくなります。
仕組みによる属人化の原因
業務マニュアルがない・古い
業務の進め方や手順を記載したマニュアルがない場合、またはマニュアルが古くて現状に即していない場合、業務は個々の担当者のやり方に依存することになります。この結果、業務内容が担当者ごとに異なり、新しい従業員が業務を引き継ぐのが難しくなります。
情報共有のツールが使いづらい
情報共有のためのツールが使いづらい場合や、複数のツールが混在している場合、情報の一元管理が困難になります。これにより、情報が分散し、適切な情報共有ができない状態が続くことで、属人化が進んでしまいます。
これらの原因を解消するためには、まず現状を正確に把握し、適切な対策を講じることが重要です。
属人化を解消する方法
属人化を解消するためには、その原因に対して適切な対策を講じることが必要です。この属人化の原因である3つのカテゴリーを解消するために、具体的な解消方法を詳しく解説します。
組織に属人化の原因がある場合
担当者を増やし業務を分散する
属人化の原因が組織にある場合、まずは業務の担当者を増やし、業務負荷を分散させることが有効です。例えば、顧客ごとに営業担当者を1名つけるのではなく、主担当1名とサブ担当複数名にすることで、業務の進捗状況や細かな対応を複数の担当者で分担できます。これにより、特定の担当者が不在でも業務が滞るリスクを軽減し、属人化の進行を防ぐことができます。
業務の標準化を推進する
属人化の解消には、業務の標準化が不可欠です。業務手順を明文化し、マニュアル化することで、誰が担当しても同じ品質で業務を遂行できるようになります。標準化の取り組みは短期的な成果が見えにくいため、長期的な視点で評価される仕組みを整えることも重要です。
担当者に属人化の原因がある場合
情報共有を促す
担当者の情報共有不足が原因の場合、上司が積極的に情報共有を促すことが必要です。具体的には、終業前に全員が情報を共有する時間を設ける、定期的なミーティングで業務の進捗状況を確認するなどの方法があります。また、情報共有の重要性を全員に理解させるための教育も行いましょう。
属人化を解消するメリットを示す
従業員が属人化を解消するメリットを感じられるようにすることも重要です。例えば、属人化を解消することで得られる評価を明確にする。標準化による効率化がもたらす時間的余裕やストレス軽減を具体的に示すなどの方法があります。
仕組みに属人化の原因がある場合
業務をマニュアル化して運用する
業務マニュアルがない、または古い場合は、まずは現状に即したマニュアルを作成することから始めましょう。業務手順を詳細に記載したマニュアルは、従業員全員が同じ方法で業務を遂行するための基盤となります。マニュアルは作成しただけではなく、定期的に見直し、最新の情報を反映させることが重要です。
情報共有しやすい環境を整える
情報共有のツールが使いづらい場合や複数のツールが混在している場合は、情報共有の仕組みを見直す必要があります。ここで有効なのが、FileMakerプラットフォームの活用です。FileMakerは、ユーザーが直感的に操作できるインターフェースを持ち、カスタマイズが容易なため、企業のニーズに合わせて情報共有の仕組みを構築できます。これにより、異なる場所にいる従業員同士でもリアルタイムでデータにアクセスできます。
例えば、在庫管理や顧客管理、プロジェクト管理など、多岐にわたる業務を一元管理することが可能です。FileMakerを活用することで、業務の属人化を防ぎ、効率的な業務運営を実現できます。また、カスタマイズ性が高いため、自社の業務プロセスに最適なシステムを構築することができます。
これらの対策を講じることで、属人化の課題を克服し、業務効率の向上と競争力の強化を実現することができます。
導入事例
デジタル化を推進し、属人化の解消に成功した事例をご紹介します。以下の企業は、FileMakerプラットフォームを活用することで業務効率の向上と属人化の解消を実現しています。
株式会社インターテクスチャード様
デジタル化を推進し、属人化の解消に成功した事例をご紹介します。以下の企業は、FileMakerプラットフォームを活用することで業務効率の向上と属人化の解消を実現しています。
インターテクスチャード株式会社は、テキスタイル製品の製造・販売を行う企業です。従来の業務では、紙ベースの手作業で在庫管理や注文処理を行っていたため、業務の属人化が進み、多忙な担当者に業務が集中していました。この属人化の解消と業務効率の向上を目指し、同社はFileMakerプラットフォームを導入しました。
東海中学校・高等学校様
創立133年の歴史を持つ中高一貫校であり、進学校としての実績と自由な校風で知られています。同校では、従来のVBベースのシステムや紙ベースの業務管理が原因で属人化が進み、業務効率やデータのセキュリティに課題がありました。そこで、FileMakerプラットフォームをベースにしたトータル校務システム「スクールマスターZeus」を導入し、データの一元管理や業務の標準化を実現しました。このシステムは、同校の独自の教育方針や業務プロセスに柔軟に対応できるため、教師の業務負担を軽減し、生徒に向き合う時間を増やすことができました。
FileMakerプラットフォームを活用することで、業務の属人化を解消し、業務効率の向上を実現することができます。特に、カスタマイズ性が高く、企業や学校のニーズに柔軟に対応できる点が大きな強みです。また、業務プロセスの標準化やデータの一元管理により、担当者に依存しない体制を構築し、組織全体のパフォーマンスを向上させることが可能です。
まとめ
属人化は、特定の担当者に業務が集中し、業務の停滞や遅延、ミスの増加、コストの増大といった多くの問題を引き起こします。これを解消するためには、まず属人化の原因を正確に把握し、それに対する適切な対策を講じることが必要です。組織、担当者、仕組みのそれぞれに原因がある場合には、担当者を増やして業務を分散する、情報共有を促進する、業務をマニュアル化するなどの対策が有効です。
FileMakerプラットフォームを活用することで、情報の一元管理や業務の標準化が容易になり、属人化を防ぐことができます。例えば、株式会社インターテクスチャード様や東海中学校・高等学校様の事例では、FileMakerプラットフォームを導入することで、データの一元管理や業務効率の向上を実現し、属人化の解消に成功しています。
属人化の解消は、企業の競争力を高め、持続的な成長を支える重要なステップです。組織全体で取り組むことで、業務の効率化とコスト削減、従業員の満足度向上を図りましょう。FileMakerプラットフォームを活用することで、自社の業務プロセスに最適なシステムを構築し、属人化の問題を根本から解決することが可能です。今後の業務改善に向けて、ぜひこれらの対策を検討してみてください。
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